よしなしごと

日々を淡々と

『昨日のカレー、明日のパン』木皿泉

昨日のカレー、明日のパン あらすじ


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7年前、一樹が亡くなった。その嫁のテツコと一樹の父・ギフがひとつ屋根の下で暮らしている。
どうしてそんな生活が続くんだろう。
一樹の幼なじみ・ムムム、一樹の従兄弟・虎尾、それぞれに一樹への思い出を持っていて、彼への弔いをしている。
1人の人間が死んでも、こんなに周りから愛されている…
少しずつ、少しずつ、悲しみを出しながら。それぞれに彼の遺品と対話しながら、彼を弔っていく。

テツコには岩井さんという恋人がいる。不思議に明るい人物であるが、ある日ギフの起こしたトラブルから、岩井さんはギフとテツコの家で夕飯を食べはじめる。
ギフとテツコ。奇妙な2人暮らしをやめない理由を岩井さんは見つける。
銀杏の樹があるこの家で続く、この何でもない生活。

テツコはひとり京都まで、岩井さんの茶碗を買いに行く。その茶碗を岩井さんは、家にくる度に律儀に持って来て、自分の家へ持って帰っていく。



全体の感想



親しい中にも、相手といい「間」をとっている。暗黙の内にお互いを思っている。外から来た人も、この輪の中へ徐々に馴染んでいく。心地よく表現されていて、すごく和みました。



買った経緯


大好きな本屋さんで
3カ所に平積みされていました。
「私はコレが好きなんです」と大きくポップが貼られていました。本当に好きで、色んなところに置いていらっしゃるんだなぁ…と思い、購入。
短編で時間軸を変えて、一樹が生きていた頃からの話もありました。
生者が死者となっても、その温かみが伝わってくる。そんな作品だと思いました。

はてしない物語 ミヒャエルエンデ



はてしない物語
ミヒャエル・エンデ



装丁がすごく美しい。

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赤がね色。
実はこの色が作中に頻繁に出てくる。
主人公が手に入れた本は、これとそっくり同じものだった。




物語のあらすじ(ネタバレを含む)


主人公のバスチアン・バルタザール・ブックスは
学校では同級生にいじめられている。
家では父と2人で暮らし。
母が他界してからというもの、
父は虚ろでバスチアンには無関心だった。

ある時、バスチアンは古書店に入り
店主のコレアンダー氏が持っていた本を盗んで、学校の屋根裏でその本を読んだ。

本の名前は『はてしない物語』。
この装丁と同じ赤がね色の本だった。


バスチアンが手に取った『はてしない物語』は
女王幼ごころの君が統治する
ファンタジーエン国の物語だった。
統治と言っても、権力を行使せず。
何も裁かず、判断しない。
攻めることも守ることもなかった。
美醜、善悪、賢愚、すべてみな
幼ごころの君が存在してこその命。
ファンタジーエン国のあらゆる命の中心の存在だ。


そのファンタジーエンに危機が迫っていた。
"虚無"が国中を飲み込んでいた。
"虚無" に飲み込まれるとファンタジーエンの国の者は人間の世界へ行く。
その中で「虚偽(いつわり)」に変化してしまい、人々を迷わす。
女王幼ごころの君も重い病に臥せていた。

女王の使者より命を受けた少年アトレーユは旅に出る。
「大いなる探索の旅」として、女王幼心の君とファンタジーエンを救う手立てがあるのか…
それを探索しに、彼は村を後にする。
幸いの白い竜フッフールも旅に加わる。
その物語を読んでいくと、バスチアンはどんどんファンタジーエンに近づいていった。


さすらいの古老は、幼心の君と対極に位置しながら、同じ存在。
ファンタジーエンに起こった出来事を書き連ねる。
それは過去のものとなって、物語を形づくる。

 
バスチアンは物語の中に文字通り「入り込む」。
さすらいの古老はバスチアンのことを細かく書き記した。
彼は物語に描写されながら、物語の一部となった。
そして、人の子バスチアンは幼心の君と共にファンタジーエンを名づけて回った。

ファンタジーエンの中に入ると、容貌はパッとしない太っちょの少年から
異国の王子の様相に変わり力がみなぎった。
だけど、中身のバスチアンはバスチアンのままであった。


物語というと、主人公は勇敢で、仲間たちがたくさん出来て…
というのがセオリーだと思うのですが、
バスチアンはそんなことがない。
生々しい人間の子どものままだ。
「汝の 欲する ことを なせ」
という言葉のまま、その想像力/創造力をあらん限り暴走させる。
そして彼は元の人間の世界を忘れていく。
自分が学校に通う子どもで、臆病であったことも忘れていく。

色のある死・ライオンのグラオーグラマーンは
「汝の 欲する ことを なせ」の意味を
「真に欲することをすべきだ」と捉えよとバスチアンに言う。

「(真に欲するものを見つけるには)
この上ない誠実さと細心の注意がなければならない。この道ほど迷ってしまいやすいものはない。」


迷いながら、間違いながら、
バスチアンは自身の物語を進めていく。
彼は最後、ファンタジーエンの帝王となろうとする。
かつて惹かれた物語の主人公、アイトレーユと討ちあって。


ファンタジーエンから戻れない人もいる。
かつて「帝王」になった者たちだ。
だけど、バスチアンは人間の世界へ戻ってきた。
彼はファンタジーエンに広げた全ての物語を、かつて惹かれた主人公アイトレーユに託して人間の世界へ戻ってきた。




感想



物語の中で幼心の君は、
ファンタジーエンから人間の世界へ戻った者は

「以前は平凡でつまらない、と思っていた世界に突然、驚きを見、神秘を感じるようになる。
ファンタジーエンと人間の世界は
壊し合うことも出来るし、癒し合うことも出来る。」


と、言っていた。


この本に限らず、読了後、世界がちょっと違って見えるようになる…
そんな本があると思う。
久しぶりに惹かれた本だった。
答えは書いてあったけど、
(バスチアンが人間の世界へ帰る時に、見つけたものだった)
ただその一点に物語を集約することなく、
色んな余白を添えて、人間の世界、
私たちが生きている世界へ返してくれる。
そんな素晴らしい本だった。



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冬の訪れ、雪国スイッチ

遠くの山に雪がかかった。

平地の我が家でも、みぞれが降ることもしばしば。

冬になってきましたね。


庭の柚子の木。
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ちょっと病気があるようですが、
今年も実を結んでくれました。


雪国で生まれ、雪国で暮らしています。
冬になると"雪国スイッチ"が入ります。


日照量も減り、気温も下がり
寒くて暗い世界が続きます。
雪原と空の境目が
灰色でどんよりとして分からないことも。

 でも
「冬こそ、よく生き延びねば」
と思うのです。
雪国スイッチ、と友だちと呼んでいます。


冬の養生は、よく眠ること。
でもそんなことばかり言ってもいられない。
雪かきをして、暖房に火入れして。
よく着込んで…
朝の支度にすごく時間がかかります。
それでも淡々と、やることはやる。


冬の寒さでも、よく生き伸びて。
背筋正して、凛と生きる。
雪国スイッチを入れて暮らしたいと思います。


占いについて

占いは世界観を学ぶもの。
自分と世界を受け容れるツール


占いの本を見ていると

「好きなんだねー。」
「占い信じているのー?」

と、よく聞かれる。

好きだよ、って答えます。


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占星術で言えば
人を12分類にして考える。

血液型で言えば
人を4分類にして考える。

動物占いで言えば
人を60分類にして考える。

ちょっと乱暴だと思う。


でも
自分の他に色んな人間がいるんだと理解できるだけで
全然、世界の見え方が変わってくる。
占い、それ自体も世界観だ。




例えば、私は
魚座。A型。
黒ひょう(いけいけ組、束縛の嫌いな)。

ロマンチストで、新しい領域に行くのが
全く苦ではない。本音も言えて、
どちらかといえば行動的。
魚座の特性で、人が超えられない、
入れない場所にでも、するりと入ってしまう。


だけど、するりと入りすぎてビックリする人もいる。

本来であれば1つ1つ確認して、話し合い、お互いに理解していくところを
一足飛びに入ってしまう。
それで相手を驚かすことも多々あった。


そういう時に思う。
「あ、私は、魚座だった。」


私が悪い…と、自分を責めず。
何で理解してくれないの…と、相手を責めず。
自分の特性であったと。
フラットに受け容れることができる。


占いはあくまで自分を受け容れるツールだ。
ツールに、すがることも怯えることもない。


魚座だから、こうなのよ!」
っていうのも違うと思う。
それは固執していて、自分の可能性を狭めている。


占いは仕様書のようなものだ。
そこにサインして生まれて来ている。
運用は、サインした本人任せ。
仕様書で形だけは決まっていないと、
プレイヤーとして世界に存在出来ない。
それだけのこと。
仕様書に固執する必要はない。
状況で変えていかないと、
むしろ仕様書は毒にもなる。



時に疲れたら見返して、
「あぁ、そうだった。」と
その度に思い出す。


占いは新たな発見とともに
自分と世界を見つめる機会をくれる。


そういう意味で私は占いが好きだ。