よしなしごと

日々を淡々と

心拍

妊娠していた。

妊娠すると、すぐ分かると思う。

身体がとても温かくなるのだ。

ぽーーんとその日から微熱くらいの体温になっている。

そうか、そうか。

 

1週間ほどして、妊娠検査薬で事情がわかる。その次は検診。

産婦人科にかかって、お腹の中を確認してもらう。

「あ、いますね!おめでとうございます。」

ってお医者さん。

胎児も心臓の音、心拍があって、丸まった状態でいる。

胎動も感じないし、自分の体調も少し気持ち悪いくらいで何ともない。

 

ほくほくした気持ちで外に出る。

望まない妊娠をする人もいるけど、今回はそういう訳でない。

パートナーとも結婚しており、楽しく暮らしている。

 

夫には前から「こりゃ妊娠しているわ」って伝えていたので、

お医者さんの言葉を伝えても

「そっか。やっぱり!」

と、嬉しそうにしてくれた。

 

 

実はこの時点で2回目の妊娠だった。

1回目は2年ほど前。

夫との間だった。

前の子(いちこ)はつわりが酷かった。

まだ結婚する前で、2人とも悩んでいたが、気持ちを察したのか、流れていった。

 

 

今回の子(にこ)は流れてほしくなかった。

でも今回も同じ結末だった。

ごめんね、いちこ、にこ。

 

10週目で検診を受けたら、心拍がなかった。

当たり前すぎるんだけど、

1度無くなった心拍って、もう戻ってこない。

でもお医者さんに確認してしまった。

「心拍がないって、亡くなったってことなんですか?」

「心拍って、また出てくることはないんですか?」

 

「残念ですが、心拍がないというのは

これ以上、成長しないということです。」

 

 

 

生まれてきている人間は、母のお腹で心拍が始まってから、

ずーーっと心臓が動いているんだ。

って。

すごく当たり前のことを実感した。

 

 

マンガ本で読んだんだけど、90年代の日本人の死亡原因の第1位が

人工中絶(流産、中絶の処置)になっていたらしい。

流産の場合は、既に亡くなっているから、この数をそのまま充てることは出来ないんだろうけど…

生まれてこれない人がたくさんいる。

 

 

たまに、

生まれてくる意味って何だろう。

辛くて死にたい。

とか、思ってしまうんだけど…

 

心臓が動いているってこと自体が、本当に奇跡で。

 

 

まだまだよく、いちこ、にこのことに向き合いきれていないんだけど。

もし次に来る赤ちゃんがいたら、その子には話したいと思う。

「あなたには2人の兄か姉がいて、あなたは本当に元気だったから、生まれてこれたんだよ。

生まれてきてくれて、本当にありがとう」と。

 

「もう、4人家族になったね」

って、夫が。

隣の家には女の子がいて、賑やか。

こちらは一見すると静かだけど、結構、家族が増えてきました。

 

この手で抱きあげることは無かったけど、もし生まれてくる子がいたら、

3人分可愛がろう、って心に決めています。

 

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